プリミティヴィズム

プリミティヴィズム(Primitivism)の変容── 観念の相対性をめぐる考察──  大久保恭子

1 はじめに プリミティヴィズムは、その起源を古典古代にもち、ルネッサンスを経て、18世紀啓蒙主義の時代には西洋の非西洋に対する認識、「他者観」として明確な姿を現し、20世紀に至った。その間一貫して語られたのは、人間の最善の状態はその「始まり」…

いわゆるプリミティヴーアートの発見*1 トリスタン・ツァラ

1907年ころ、アンリ・マチスがレンヌ街のエマン爺さんの店でひとつのアフリカ彫刻を買った後、当時はなお未知のものだったこの芸術*1に対して、新しい画家たちの関心を初めて喚起したのだが、この間の事情は今日ではすでにあらまし人々の知るところになって…

20世紀芸術と多元文化形成:トリスタン・ツァラと「黒人詩に関するノート」 大平具彦

トリスタン・ツァラと言えば、1916年にチューリヒで開始されたダダ運動の創始者であり、後にパリに移住してダダ運動の路線をめぐってブルトンと対立、その後独自の言語宇宙を創り出してシュルレアリスム運動にも参加したルーマニア生まれの詩人として知られ…

20世紀アヴァンギャルド文学・芸術におけるプリミティヴィズムーブレーズ・サンドラールを中心に 西村靖敬

はじめに 19世紀後半に始まったとされる西洋「モダニズム」は、その名の示す通り、古き過去から決別して現代的な新たな価値を探求し標榜する潮流であり、20世紀前半に多発したアヴァンギャルドの諸運動は、このモダニズムの先鋭部隊であったはずだ。だが、前…

20世紀初めのヨーロッパにおける 「黒人芸術art negre」の発見と評価  稲垣里芳

はじめに 本論文は、ヨーロッパ、特にフランスにおいて、黒人アフリカの造形物が「芸術(art)」 と呼ばれ始めた20世紀初頭の状況を探ることによって、民族学的資料と芸術作品と の境目を問い直し、西洋的なファイン・アートとは異なる文脈において制作され…